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2009年9月28日月曜日

書籍「サバイバル登山家」
























書籍「サバイバル登山家」を読みました。

著者の服部さんは愛読のアウトドア雑誌などでも最近よくインタビューなどがされており、その登山活動に興味をもって購入しました。

何がいいって、まずこの表紙がいいじゃないですか。
僕は本を読む時、なるべく読んだ本の内容を忘れないための記憶のきっかけとして「表紙のビジュアル」を覚えておく習慣があります(CDのジャケットを見ると中の曲を思い出すような感じです)。
なので、基本的に読む本にブックカバーを付けないのですが、この「サバイバル登山家」ときたら。絶対に記憶から離れない、圧倒的インパクト。そして電車の中などでも相当目立ちます。

最小限の装備のみを持って自給自足で登山をするという著者の活動の描写は時に過激に、時にユーモラスで読み物としても面白く、興味や関心が沸くのはもちろんですが、特に深く共感したのが著者を「サバイバル」に駆り立てる原体験の告白の下り。

“気がついたら普通だった”
生まれた時から衣食住に困る事無く、生きられる事が普通になった世代。
しかし僕らの世代が生きる事はそんなに楽なのだろうか?という問い。

この書き出して始まる著者の「生きている」実感への渇望は、
多かれ少なかれこの時代を生きている僕たちみんなが共通して持っている欲求なのでは?


書籍「サバイバル登山家」
服部文祥(ハットリブンショウ)著:

目次:
知床の穴
1 サバイバル登山まで(満ち足りた世代/肉屋)
2 サバイバル登山(サバイバル始動/サバイバル生活術/日高全山ソロサバイバル)
3 冬黒部(黒部とは/二一世紀豪雪/三つの初登攀)

書籍「思考の整理学」























書籍「思考の整理学」を読みました。

すごく面白い!
書店カウンター前の平積みにほいっと引っかかり、「東大・京大で一番読まれている本」という帯にまんまとつられて買って正解でした。人間正直が一番だなあ。

20年以上前の本なのですが、内容は今流行の「勉強本」とは似ていつつも少し違う内容。
思考(クリエイティブに落とし込むなら、アイデアと言い換えても良いでしょう)をいかに整理し、醸成していくかのヒントになる知恵がちりばめられつつ、根底に「考える事は楽しい・人生をかける価値がある」というような、学びに対する暖かい目線を感じます。

こういう本は通勤時に読むと「やるぞ!」ってテンションあがります。
オススメ!


書籍「思考の整理学」
外山滋比古 書:
ちくま文庫

目次:
グライダー
不幸な逆説
朝飯前
醗酵
寝させる
カクテル
エディターシップ
触媒
アナロジー
セレンディピティ
情報の“メタ”化
スクラップ
カード・ノート
つんどく法
手帖とノート
メタ・ノート
整理
忘却のさまざま
時の試錬
すてる
とにかく書いてみる
テーマと題名
ホメテヤラネバ
しゃべる
談笑の間
垣根を越えて
三上・三中
知恵
ことわざの世界
第一次的表現
既知・未知
拡散と収斂
コンピューター

2009年7月12日日曜日

書籍「新編 第三の眼 -デジタル時代の想像力」















書籍「第三の眼 -デジタル時代の想像力-」を読みました。


この本の著者である写真家・批評家の港千尋氏は僕の大学院時代の主査であり、今でも最もお世話になっている先生の一人です。

修士の時には写真や映像のテクニカルな知識や作品・作家の歴史を学ぶだけでなく、記憶・聖性・儀礼・群衆、etc…幅広いアプローチから「イメージ」というものをどう捉えるか、という新しい視点を学ばせて頂きました。


この「第三の眼」は2001年に発行されたものですが、今年新たに増補され、新編として発行されたものです。

日本IBMの季刊誌「ACCESS」に連載執筆された原稿が元になっているため、通して読む事も、章ごとにランダムに読む事もできます。


全体を通して、近年のデジタル時代において再考をせまられる様々な価値観や認識の「変化」が取り上げられます。その一方、関連する過去の様々な芸術・文化・科学等の事例が取り上げられ、結果として「何が普遍か」という事を感じ、深く考えさせれます。


例えば、第一章の「知識の扉 学ぶことの身体性」の中の一節:


ー『世界の再魔術化』で知られるモリス・バーマンが書きとめているエピソードによれば、ヘブライ語のアルファベットを習う最初の日、教師は子どもたちにそれぞれの石版に最初の文字を蜜で書かせ、それを舐めさせたという。子どもたちは、文字を学ぶ最初の瞬間に、知識は甘美なるものである事を感得する。いったい今の世界で、誰が「文字」に味があることを教えられるだろうか。ー


一遍ごとに新たな「知」のヒントのようなものが散りばめられており、好奇心や知的欲求が満たされていくような内容です。




新編 第三の眼 -デジタル時代の想像力

著者:港千尋 せりか書房


目次
はじめに 変容する眼差しと記憶

1 イメージの知
知識の扉
透かし小史
デジタル・イメージとは何か
デッサンという旅

2 目撃者たち
見知らぬ乗客のための写真の歴史
オプトグラムの謎
スタジアムの眼
日常の考古学

3 創造の器官
創造的器官
眼のなかの虹
記憶の縫いかた
第三の眼


2009年5月30日土曜日

書籍「隠すマスコミ、騙されるマスコミ」























書籍「隠すマスコミ、騙されるマスコミ」を読みました。

写真や映像といた記録メディアが与える情報と僕ら受け手側に残る記憶の誤差については、修士の頃からの研究テーマの一つです。
時間がある時は適時リサーチをしているのですが、この本はその一連でまとめ買いした数冊のうちの一冊です。

この本では新聞やテレビといった主要メディアの流す情報がいかに不確かであるか、
且つ、なぜ不確かになってしまうか、といった報道の問題点を多角的に論じています。

非常に興味深かったのは「騙し屋スカッグス」という、実在する人物のエピソードの紹介です。
この人物、ジョイ・スカッグスは米国で「嘘のニュースソース」をマスコミに流し、「実際にそれを報道させる」事を活動とする人物です。
(違う意味で“メディア・アート”?)
一例として「裁判を自動化するスーパーコンピューターが開発された」というでっちあげの会見を設定し、
事実としてCNNのニュースで放映された、といった事例がいくつか紹介されています。
彼の活動の賛否はともかく、マスコミの流す情報の信憑性について一考せざるを得ない、重要な気づきが含まれます。

また全体的に、米国で9年間の記者実績のある著者が「取材」で得た情報をベースにして書いているのが文章の強度を支えていると感じました。
「取材」が大事なのだと感じました。

実体験や経験値の不足は、真の取材で補えるという事です。
キーワードは取材ですよ!


隠すマスコミ、騙されるマスコミ
小林雅一 著・文藝春秋

2009年5月15日金曜日

書籍「A6ノートで読書を超速化しなさい」

















書籍「A6ノートで読書を超速化しなさい」を読みました。

昨今書店で盛大に平積みされている大人の勉強本(数年前は自己啓発本だったなあ)。
食わず嫌いで僕はこの類いを読んだ事があまりなかったのですが、心境の変化があり手にとったのがこの一冊。
(心境の変化=奥さんの希望で朝日新聞をやめて日本経済新聞を読むようになり、気分はすっかりビジネスパーソン)

非常に為になりました(笑)。
この本で提案している読書の「超速化」とは速読の類いではなく、短時間で効率よく本を読む無理のないメソッドを前提に
「読んだ本をA6ノート見開きに、内容を一望できるようにマッピング(地図化)」する方法と、そのメリットについて丁寧に書かれています。
ビジネスだけでなくクリエイティブの業界でもしばしばお目にかかる「マインドマップ」を筆頭とするノート術ですが、
この方法をうまく利用すれば「読んですぐ内容を忘れる」という事もなく、かつノートをためていく事で効率よく自分専用のアーカイブを作る事ができそう。
個人的に、これは読書だけでなく映画などの映像鑑賞、美術展などのメモにも応用できそうだと思いました。

…ぐふっ、なんだかアマゾンのレビューみたいになってしまった。

ま、本も作品も、食わず嫌いはなるべくやめようと思います!


2009年5月7日木曜日

書籍「人類と建築の歴史」

















久々に書店で建築系の本を手にしたのですが、
冒頭からパラパラとめくってみると旧石器時代の住まいから独自の建築感が論じられており、原始人の住居生活の模様なども書かれており俄然興味を惹かれます。
目次の最初が「マンモスを食ってたころ」
良い。
通勤中の疲れた頭で読むには
コレだ!と思い購入しました。

と、読み始める前は有史以前から近代建築までを俯瞰するような建築史の本だと思っていたのですが、それは勘違いでした(全体の8割までで、ようやくエジプトのピラミッドに到達…)。

この本では全体を通して「人類の信仰の変化と住まいの変化の関係性
」について多くの頁が割かれています。
特に興味深かったのはキリスト教や仏教、イスラム教といった宗教が生まれるはるか以前の「地母信仰」「太陽信仰」が及ぼした住まい(そして建築)への影響についてのユーモラスな
考察です。
そして、日本の神社建築スタイルの三大源流である伊勢神宮・出雲大社・春日大社などは、建築と儀礼を通してこれらの信仰を現代に伝える機能を有している、といった興味深い記述もあります。

そうか、神社にいって背筋がぴしっとする感じは縄文人の信仰とルーツがつながっているんだ!
という、ちょっとした新発想。


「人類と建築の歴史」藤森照信 ちくまプリマー新書