2009年7月12日日曜日

書籍「新編 第三の眼 -デジタル時代の想像力」















書籍「第三の眼 -デジタル時代の想像力-」を読みました。


この本の著者である写真家・批評家の港千尋氏は僕の大学院時代の主査であり、今でも最もお世話になっている先生の一人です。

修士の時には写真や映像のテクニカルな知識や作品・作家の歴史を学ぶだけでなく、記憶・聖性・儀礼・群衆、etc…幅広いアプローチから「イメージ」というものをどう捉えるか、という新しい視点を学ばせて頂きました。


この「第三の眼」は2001年に発行されたものですが、今年新たに増補され、新編として発行されたものです。

日本IBMの季刊誌「ACCESS」に連載執筆された原稿が元になっているため、通して読む事も、章ごとにランダムに読む事もできます。


全体を通して、近年のデジタル時代において再考をせまられる様々な価値観や認識の「変化」が取り上げられます。その一方、関連する過去の様々な芸術・文化・科学等の事例が取り上げられ、結果として「何が普遍か」という事を感じ、深く考えさせれます。


例えば、第一章の「知識の扉 学ぶことの身体性」の中の一節:


ー『世界の再魔術化』で知られるモリス・バーマンが書きとめているエピソードによれば、ヘブライ語のアルファベットを習う最初の日、教師は子どもたちにそれぞれの石版に最初の文字を蜜で書かせ、それを舐めさせたという。子どもたちは、文字を学ぶ最初の瞬間に、知識は甘美なるものである事を感得する。いったい今の世界で、誰が「文字」に味があることを教えられるだろうか。ー


一遍ごとに新たな「知」のヒントのようなものが散りばめられており、好奇心や知的欲求が満たされていくような内容です。




新編 第三の眼 -デジタル時代の想像力

著者:港千尋 せりか書房


目次
はじめに 変容する眼差しと記憶

1 イメージの知
知識の扉
透かし小史
デジタル・イメージとは何か
デッサンという旅

2 目撃者たち
見知らぬ乗客のための写真の歴史
オプトグラムの謎
スタジアムの眼
日常の考古学

3 創造の器官
創造的器官
眼のなかの虹
記憶の縫いかた
第三の眼


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