2009年7月21日火曜日

展示「ウィンター・ガーデン」&銀座のメゾンエルメス「L_B_S/名和晃平」展








先週末、原美術館「ウィンター・ガーデン 日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」展と、銀座のメゾンエルメス「L_B_S/名和晃平」展を観てきました。

原美術館最寄りの品川駅・高輪口はいつ来てもちょっとノスタルジックな気分になるのは僕だけでしょうか?
港南口側は品川インターシティをはじめとした超高層オフィス街が乱立しているのに対し、高輪口は建物全体が圧倒的に低く、空が広いです。
海が近い匂いもしますし、横浜ー品川間に日本で初めて鉄道が開通した頃の「旅の玄関口」的な雰囲気?、つまり古き良き時代を感じます。
駅前のART COFFEE BRANCHEは意外とうまい。





品川駅から徒歩15分、原美術館へ。
「ウィンター・ガーデン」は最終日という事で多くの来場者でにぎわっていました。
展示は全体的に統一感があり、ドローイングやペインティングを主要とした構成。1点1点を観るというより全体を俯瞰して観るようなイメージの展示でした。

個人的な美術作品の好みとしては「作り込み感」「スケール感」「ストーリー性」(※1)といった要素が好きなので個々の作品にやや大人しい印象を受けました。
しかし一点一点がバランスを持って作品として成立している感は強く感じ、その妙なバランス感覚は確かに気になります。

続いて向ったのが銀座のメゾンエルメス「L_B_S/名和晃平」展。
エルメスに寄与した事は1円もなくてすみませんなのですが、良質な展示を無料で提供している当ブランドのの姿勢はすばらしいと思います。奥さんにスカーフの一枚でも買わないとバチがあたるかもと思いつつ、8Fのフォーラムへ。

展示作品は立体作品3展と小規模ですが、一見の価値ありです。
特に名和さんの作品で良く知られている透明な球体で動物のモチーフを覆った作品「BEADS」は迫力充分。まだの方はぜひ生で観て下さい。
そういえばダミアン・ハーストのホルマリン付けの動物の諸作品に類似した印象がありますが(動物だからだけど)、英国の美術会と動物モチーフに何か因果関係があるのかな?





















帰りには池袋に行って同僚達とジンギスカンに舌鼓。
人生最強のジンギスカンと牛トロ飯を食べて、ここ数週間の勤労が報われました。
肉はいいなあ。

(※1)全然美術的な表現じゃなくてスミマセン。

2009年7月19日日曜日

オープンキャンパス2009

















勤務している美術大学の2009年度オープンキャンパスが無事終了しました。

オープンキャンパスは少子化のこのご時世、大学が最も力を入れる広報イベントです。
本学では二日間の開催で、のべ6,500人程の来場者があり、好評を頂いてほっとしています(準備も運営もさながら修羅場でしたが)。

この手の大掛かりなイベントでは展示する作品だけでなく、来場者の誘因や授業内容の説明等のパネルなど、広報物の制作が非常に重要になってきます。
今年は所属研究室の広報担当だった事もあり、当然他学科の広報が気になります。後学の為に空いた時間で他学科の展示を観に行きました。
広報物の作りやゾーニング・受験生向け空間設営ノウハウを観てまわるつもりだったのですが、自然と設営作品に魅入ってしまい、結構な時間キャンパスをまわってしまいました。

僕の所属は各種ニューメディアを使用したメディアアートやインスタレーション、映像・写真を学ぶコースですが、こういう機会に彫刻や工芸といった純・ファインアート作品を見て回るのは非常に新鮮でした。
まさに灯台下暗しで、美術大学で働いているのに多学科の環境や作品を意外と見ていなかったのだなあ、と気付きます。
自分の体よりも大きな木や石を削り出す、金属を叩いて曲げる、キャンバスに絵の具を幾層も重ねる、粘土で立体のモックを精巧に作る、、ひたすら奇麗に線を描く、緻密に糸を紡いで布を作る…
そのどれもがワクワクさせてくれました。こういう初心に帰ったような気持ちは結構久しぶりです。

もちろん僕の所属コースも学生皆さんのがんばりのおかげで、非常に良い展示空間を作る事ができました。
加えて今年は卒業生に協力をして頂き、参考作品として当時の卒業制作作品を展示して頂きました。
どれも歴戦の名作揃いで、華々しくキャンパスを飾ってくれました。

総じて、今更ですが「美術って面白いなあ!」と素直に再認識した一日でした。
(激務でしたが…)

そんなオープンキャンパスと並行して、僕が監督した映像作品の上映イベントが渋谷アップリンクで開催されていたのですが、日程がバッティングして行けませんでした…
うーん残念。

主催:大橋可也&ダンサーズ 「明晰の夜1」
http://tokyoartnavi.jp/exhibition/detail.php?event_id=00018158

こちらは様々な公演撮影やビデオダンス共同制作などでご一緒させて頂いているコンテンポラリーダンスカンパニー「大橋可也&ダンサーズ 」さん主催のイベントでした。
参加した方から話を聞いた所、こちらも満員御礼だったようで何よりです。

もうそろそろ大学業務は前期終了です。
この夏は制作に打ち込もうと思います!

2009年7月12日日曜日

書籍「新編 第三の眼 -デジタル時代の想像力」















書籍「第三の眼 -デジタル時代の想像力-」を読みました。


この本の著者である写真家・批評家の港千尋氏は僕の大学院時代の主査であり、今でも最もお世話になっている先生の一人です。

修士の時には写真や映像のテクニカルな知識や作品・作家の歴史を学ぶだけでなく、記憶・聖性・儀礼・群衆、etc…幅広いアプローチから「イメージ」というものをどう捉えるか、という新しい視点を学ばせて頂きました。


この「第三の眼」は2001年に発行されたものですが、今年新たに増補され、新編として発行されたものです。

日本IBMの季刊誌「ACCESS」に連載執筆された原稿が元になっているため、通して読む事も、章ごとにランダムに読む事もできます。


全体を通して、近年のデジタル時代において再考をせまられる様々な価値観や認識の「変化」が取り上げられます。その一方、関連する過去の様々な芸術・文化・科学等の事例が取り上げられ、結果として「何が普遍か」という事を感じ、深く考えさせれます。


例えば、第一章の「知識の扉 学ぶことの身体性」の中の一節:


ー『世界の再魔術化』で知られるモリス・バーマンが書きとめているエピソードによれば、ヘブライ語のアルファベットを習う最初の日、教師は子どもたちにそれぞれの石版に最初の文字を蜜で書かせ、それを舐めさせたという。子どもたちは、文字を学ぶ最初の瞬間に、知識は甘美なるものである事を感得する。いったい今の世界で、誰が「文字」に味があることを教えられるだろうか。ー


一遍ごとに新たな「知」のヒントのようなものが散りばめられており、好奇心や知的欲求が満たされていくような内容です。




新編 第三の眼 -デジタル時代の想像力

著者:港千尋 せりか書房


目次
はじめに 変容する眼差しと記憶

1 イメージの知
知識の扉
透かし小史
デジタル・イメージとは何か
デッサンという旅

2 目撃者たち
見知らぬ乗客のための写真の歴史
オプトグラムの謎
スタジアムの眼
日常の考古学

3 創造の器官
創造的器官
眼のなかの虹
記憶の縫いかた
第三の眼


2009年7月6日月曜日

映画「エヴァンゲリヲン新劇場版:破」























「エヴァンゲリヲン新劇場版:破」を観てきました。

常連のららぽーと横浜のシネコンはいつ何を観ても空いているので楽勝です。


いい!ここ最近観た映画の中で抜群に最高でした。

この映画はストーリー命なのでネタバレ防止の為詳細には触れませんが、いわゆる「エヴァ世代(※1)」にとってはこの夏最高のプレゼントでしょう。

やはり多感な思春期に味わった名作に10年経って再開するというのはなかなか味わえない感動があります。

似たような経験として、僕の場合、押井守の「攻殻機動隊」(1995劇場公開)の後、2004年に上映された「イノセンス」を観た感覚に近いです。

劇中の物語が自分の体内時計とリンクする感覚は続編冥利につきます。


同年代の友達とは最近よく話題に上がるのですが、「破」を観て興味深いのは、登場人物への感情移入の仕方が10年前と明らかに変わっている点です。

当時は主人公達、つまり14歳の少年少女達の目線になって物語を観ているわけですが、今回の新劇場版では明らかに「葛城ミサト」「加治リョウジ」目線で物語を観てしまう。

(今年丁度同じ歳だし)

今になって初めて共感できるaround 30の気持ちというと大げさですが、ストーリーや構成の変化だけでなく、「自分自身の変化」を如実に感じてしまう所が、今回の新劇場版のはらむ二重のサプライズなんだなあ。



…ってことはあれか。あと10年20年経ったら碇指令とか冬月先生の気持ちも分かるって事か。

歳をとるって楽しいなあ。


(※1)1995年のテレビ版放送、及びその後の再放送・第一次映画版をリアルタイムで観ていた世代。

2009年7月2日木曜日

Mac Pro 8 core(+intensity pro)
























3年間使い続けていたPowe Mac G5からMac Pro 8 coreに乗り換えました。


苦楽を共にしてきたG5ですが、ここ数ヶ月、自宅での映像作業での機械的なトラブルが多く(※1)、これでは仕事が溜まる一方です。ここぞとインフラの再構築を始めました。

ガジェット好きとしてはカメラやレンズといった光学機器へと食指を延ばしがちですが、やはり一番使用頻度が高いのはPC。ばしっと男らしく(※2)新調した次第です。


Macお得意の「情報の転送」を行い、旧G5の情報をまるまる転送して使用開始。

メールの履歴やブラウザのブックマークまで全てコピーされるので「おお!魂が入れ替わった!」という感触です。

これはいい。幾多の夜をともにしたG5が装いも新たに帰ってきた…いや、装いは変わらない。ちっとも。(↓左がMac Pro 8 core)


























外観の変更点は端子類の配置です。本体前面にFirewire800が2個、USBが2個ついたのは使いやすくなりました。

ただ、Firewire400の端子が無くなってしまったので、外部機材との連携の為に800-400の変換ケーブルも合わせて購入。


さて、肝心の本体性能ですが、申し分ありません。例えば100分の映像を高ビットレートでDVDオーサリングする際8時間かかったりしていたのですがが、8coreなら2時間です。

空いた時間で園芸だってできるというものです。

これでそのうちRaidでHDDを組めば非圧縮以外のHD編集は問題なさそうです。

















また、CPUがインテル製になった事で各種拡張機能にも対応が容易です。

今回は購入と同時にBlack magic designのHDMIボード「Intensity pro」も購入。

春先に買ったハイビジョンモニターにHDMI出力・コンポーネント出力が可能になりました。

もちろん入力にも対応しているので様々なワークフローに対応可能です。


ハイビジョンのインフラもSOHOレベルの支出でようやく組めるようになってきました。

2年前はHDVでも息切れしてたのになあ…


(※1)Mac本体のロジックボード交換(2回)、1TBハードディスクの破損

(※2)男らしく、しかし安全に、24回ローンで。