2009年12月15日火曜日

ビデオ撮影“ソロスタイル”について考える ver.1「機材の運搬について」








先週、とあるドキュメンタリー映画撮影にカメラマンとして参加しました。
(まだ発表前の作品なので案件名はまだクローズですが、公開が決まったら上映情報などアナウンスさせて頂きます)

今回は追加撮影分の担当だった為、大規模なチームを組んでの撮影ではなく、僕一人でカメラと音声を兼任という形で望みました。
地方出張を含め、こまめに場所を移動し素早くピンマイクやガンマイクなどの音声を準備し、アングルを決めて撮影、収録してまた移動ー
という撮影を4日間行ったのですが、実感しました。
「ひとりで全部やるのは、すげえ大変だ!!」


“ソロスタイル”を真剣に考えなければならない!
とはいえ、体を鍛えなければならない、といったフィジカル論ではなく、あくまで“ガジェット(機材)”で解決策を見いだすのがこのブログらしいと思うので、機材のセレクトについて、真剣に(趣味的に)考察をしてみたいと思います。

本来、万全を期すべき収録ではディレクター、制作、カメラマン、音声(ビデオエンジニアが兼任する事もある)、照明etc...
といった複数スタッフがチームワークによって各自の仕事を行います。大人数なので、自分の役割に専念できますし、荷物もたくさん運べます。移動には当然車を使いますし、地方や海外の撮影では頑丈なケースに機材を入れて空輸もするでしょう。

ただ、以下のような現在の様々な状況:
・不景気なので、低予算案件が多くなる(一人とか二人とかでなんとかする)
・映像の主要な上映場所はwebに移行しつつある(小規模コンテンツが多い)
・ビデオやスチールといった垣根がなくなりつつある(マルチにがんばる)
を考えると、今回の撮影のように「一人で全部やる!」という身のこなしが必要になってくるのでは…と思うのです。
逆に言えば、「ソロスタイル」を構築できれば、2人、3人といったチームの装備編成を考える上でも、重要な試金石になるのではないでしょうか。

以上を踏まえ、今回は ver.1ということで、「機材の運搬について」考察しました。
必要となる条件は以下につきます。

・最低限の荷物は「(ビデオ)カメラ一式」「三脚」「ケースに応じたプラスアルファの機材」「その他(身の回りの諸備品)」
・業務クオリティを確保しつつ、なるべく軽量に装備をまとめる事。
・軽量の定義は「車を使わなくても一人で持ち運ぶ事ができる重さ」と定める。
・具体的には、鉄道を利用した移動が簡便にできて、新幹線や飛行機の手荷物として運べる大きさである事。
・現場でのセットアップが15分程度ででき、収録中にも自分一人で対応できるような簡便さがある事。

以上を踏まえ、「機材の運搬について」現在考えている僕のベストチョイスがコレです。












KATA インサートローリー+KATA カメラバッグ各種


よくおばちゃんが引っぱっているただのキャリーカーじゃないか!
と思ったあなた、早計ですよ!

これはボーゲンイメージングが輸入代理をしている、KATAというカメラバッグメーカーが出している(もとはイスラエルの特殊部隊の装備を作る会社だったそうです)、れっきとした機材運搬用ツールなのです。
http://www.bogenimaging.jp/Jahia/

特筆すべきは、このKATAが販売しているほとんどのカメラバッグが、この「インサートローリー」のハンドルに差し込める構造になっているのです。
つまり、荷物を「インサートローリー」にひもでくくり付ける必要がなく、差し込むだけで重ねて2個くらいのバッグを運ぶ事もできます。



















どうだ!

カメラバッグも三脚ケースも汎用バッグも、瞬時にタイヤ付きのキャリーバッグになるのだ!
また、タイヤの構造が素晴らしく、左右それぞれ2つ付いたタイヤを引き出し、安定した4輪で引く事が可能です。

ビデオ系のカメラバッグとして現場で支持されているものといえばアメリカの「ポータブレイス(http://www.portabrace.jp/)」が有名です。
僕もこのメーカーのバッグは頑丈だし使い勝手も良いし大好きなのですが、やはり大半の商品が「車での輸送」を前提にされています。
比較してKATAは、ほぼ全てのバッグを「ただのキャリーカー」で運搬できるようにカスタムしてるなんて、なんとも細やか気配り。偉いじゃないですか!
こういう道具こそ「実戦的」だと思います。

このインサートローリーに必要な大きさのカメラバッグを搭載し、三脚とその他の手荷物を肩にかけて移動すれば、おおよそのソロ行動は可能になります。
実際、今回のロケでは僕もKATAカメラバッグ+インサートローリーの組み合わせで各地を点々と移動しましたが、非常にタフで大助かりでした。
なんとも偉大なキャリーカー。全国のソロスタイル実践者、必携!

では次回のver.2では「ソロ的ビデオカメラの選び方」について、誰に頼まれるでもなく、鋭意執筆します!